ル・マンの偉大なるチャンピオン
ル・マン・マイスターの異名を持つトム・クリステンセン(Tom Kristensen)は、ル・マン24時間レースで9度の総合優勝を誇る名ドライバーです。1967年に生まれ、デンマークで育ったトム・クリステンセンは1984年にカートをはじめ、ドライバーキャリアをスタートさせます。1991年にはドイツでF3チャンピオンとなり、1992年からは日本に活動の拠点を移して、全日本F3王座を獲得します。
その後も、国際F3000選手権などさまざまなレースで活躍を続け、ウィリアムズF1でのテストドライバーを経て、1997年にはポルシェWSC95(ヨーストレーシング)で初参戦ながら、ル・マン総合優勝を達成しました。その後も、チームを変えながら、圧倒的な強さをル・マン24で発揮し、2000年~2005年のル・マンを優勝し続け、6連覇という黒くを打ち立てています。大きなクラッシュを経験し、どうなるかと思われたものの、2008年にはプジョーとの激戦を制して8度目の優勝、2013年には9度目の優勝を成し遂げました。
さまざまなチームやマシンを通しての活躍は、ル・マン・マイスターと呼ぶにふさわしく、特に2000年からの活躍は、ル・マン24の優勝請負人といっても良いレベルです。
勲章を受章したレーシングドライバー
長くにわたる活躍をたたえられ、2014年にはレーシングドライバーとしてはデンマーク初となるダンネブロ勲章も受章。そして、2014年11月30日に現役引退のラストレースを行いました。最後の予選セッションは、WEC公式が「Tom Kristensen’s final qualifying session」というタイトルで動画公開されています。長くに渡り、ル・マンを盛り上げたドライバーへの敬意があふれた動画です。
2021年には共著による半自伝も出版されており、興味がある方はぜひ手に取ってみてください。英語のみというのが少々ハードルが高いところですが、好きな方にはきっと楽しめるはずです。
トム・クリステンセンがル・マンで活動していたレーシングチーム
ヨースト・レーシング・BMW・アウディ・ベントレーなど。主にアウディでの活躍が多く、引退後もアウディのチームアドバイザーとして活動していました。主なマシンとしては、アウディ・R8が挙げられます。このマシンで5度の優勝を果たしており、まさに相棒といえるでしょう。