耐久レースで大いに貢献したアウディ
2016年をもって世界耐久選手権から撤退したアウディ。
多くの輝かしい実績を持ち、ル・マン24の総合優勝回数13回はポルシェに次いで2番目に多い数字です。
撤退の理由は、フォルクスワーゲングループのディーゼル排ガス規制の不正問題です。市販車で起きた問題とはいえ、ディーゼル車の優勢を喧伝したことでアウディのイメージもガタ落ちに。
WEC発足当初の様なディーゼル車への優遇措置がなくなり、勝利も厳しくなったことで撤退となります。
1999年に耐久レースに出場して以来、18年間で多くの功績を残してきました。
187戦107勝、そのうちル・マン24では13勝と、耐久レースをけん引する象徴だったといえます。
アウディの最大の功績は、ディーゼルエンジンの価値と可能性を世間に知らしめたことでしょう。
耐久レースで多くのタイトルを獲得したアウディ・R18は2011年から2014年にかけてル・マン24でもタイトルを獲得しました。
低回転から力強いトルクを生み出すディーゼルエンジンのパワーは見事なもので、2016年の最終戦では直線、コーナーを問わずライバルのポルシェやトヨタを圧倒。
6時間を全力で走り抜ける勢いは完成度の高さを伺わせます。
勝てるマシンを仕上げながらも、不正問題で去らなければならないことは関係者にとって不本意だったでしょう。
耐久レースに2023年から復帰
2021年にアウディは2023年のル・マン24に挑戦するマシンのコンセプトワークをほぼ完了したと発表しました。
2023年からLMP2クラスとDPiクラスを共通化し代わりとして新しくスタートするLMDhクラスに参戦する予定です。
このレギュレーションでは、企業が独自のパワートレインを開発する事由が与えられていますが、ハイブリッドシステムのスペックを統一するなどコスト削減策も盛り込まれています。
WECチャンピオンシップのみの参戦とのことです。
同じく2023年に参戦発表をしているポルシェは、親会社が同じフォルクスワーゲングループで新しいレーシングカーとして共同開発も行っています。
新しい参戦マシンをファクトリーチームとして並行して、カスタマーチームにも提供すると述べており、LMDhクラスのレギュレーションに基づいて製造された車両は、アメリカのスポーツカー選手権であるIMSAにも参戦できることから、関心が寄せられているそうです。