エピソードの多い1969年

ピットイン

歩いてスタートしたジャッキー・イクス

1969年のレースで優勝者となったジャッキー・イクスは驚きのスタートを切ります。
当時はグランドスタンドに向くように並べられた競技車に向かってドライバーがスタートの合図で走り込んで乗り込むルマン式スタートでした。
1923年のルマン24から採用され、多くの耐久レースでも採用された方式でしたが、シートベルトをせずにスタートするドライバーや後方の車両が早く出てしまうといった問題点もあった方式です。
ジャッキー・イクスはスタートの混乱を避けるため、他のドライバーがダッシュして乗り込む中、ゆっくり歩いて乗り込み、シートベルトをしっかりしめて他のドライバーが走り出したことを確認して出発しました。

多くの混乱に陥った1周目

1969年6月14日11時にスタートされたレースの1周目で大事故が起こります。
猛スピードで走るポルシェ917がコーナーを曲がり切れず、土手に突っ込み車両は炎上。ドライバーであったジョン・ウルフは死亡します。
また、この事故を避けるため、多くの車両がクラッシュ。リタイアや長時間の修理が必要となってしまいました。
その中には1966年のルマン24を制したクリス・エイモンやイギリスサルーン選手権の覇者フランク・ガードナーなどがいます。

ポルシェが総合優勝を逃す

ポルシェ908で2位だったウド・シュッツは、周回遅れだった同じポルシェ908とデッドヒートを演じ、クラッシュしリタイアとなってしまいます。
周回遅れだったポルシェ908は、その後トップ争いに加わっており、結果的にポルシェが総合優勝を逃す結果となってしまいました。
11時10分にジャッキー・イクスは先頭に立ち、周回遅れだったポルシェ908と抜いたり、抜かれたりを繰り返します。

ジャッキー・イクス/ジャッキー・オリバー組のフォードが優勝

2位との差はわずか130mですが、フォードGT40が逃げ切り優勝。
これでフォードは4連覇を達成しました。ジャッキー・イクスはその後、ルマン最多優勝者となりますが、この1969年のルマン24が初優勝となります。